百万石包み かさねは、どのようにデザインを考案されたのでしょうか? まず金沢エムザさんからお声をかけていただきました。金沢を代表する百貨店さんと一緒に仕事ができることを大変うれしく思いました。また、百貨店で取り扱う多種多様な商品を包装するという幅広い依頼は今までなかったので、例えば、「以前、別のところではこういう提案をしたから…」ということに縛られることなく、直感で「金沢らしいラッピング!!」を思いつくまま提案させていただきました。
どんなことに苦労しましたか? 最初は華やかで色とりどりのデザインをたくさん作りました。全くの手探り状態からのスタートだったんです。そこから話し合いが進むにつれて、自分が思う百貨店のイメージと、金沢エムザさん側が求めるイメージとがなかなか重ならず、「イメージは近いんだけど…」というズレをどう埋めていくかが大変でした。
シンプルながらも豪華な印象を受けます。どのようにして、このデザインに行き着いたのでしょうか? 百貨店のイメージや金沢のイメージよりも、まずは送る方と受け取る方がどのように感じるか、ギフトという用途に合わせたユーザビリティを最優先したんです。いつもの贈り物が上品で贅沢に感じるように。ギフトは、送る方も受け取る方も親しい間柄だけのものではありません。目上の方や、企業様同士、お世話になっている病院の先生など様々です。どんな場面にも使っていただけるように、というのが最終的なコンセプトになりました。その上で、金沢らしさや斬新さ、高級感を表現しました。色んな方々にご意見をいただき、皆さんが納得する素敵な包装を作ることができたと思います。
和紙と水引を使うということは最初から決まっていたのでしょうか? 自分がラッピング専門店を始めたきっかけでもあるのですが、インターネット通販では、ラッピングされずダンボールの梱包だけで商品が届くことを残念に感じていました。金沢にはラッピング専門店がなかったこともあり、2014年に開業して和紙や水引を使ったラッピングを提案したところ、SNSでたくさんの反響をいただいたんです。おそらくこのスタイルが金沢のイメージにマッチしていたのでしょう。ですから、今回のデザインも和紙と水引を使ってきっとうまくいく、という確信がありました。
百万石百貨店オンラインショップを含め、今後、どのようなものを発信していきたいというビジョンはありますか? もっと多くの方に、ラッピングの楽しさを知ってもらいたいという想いはあります。それは、ショッピングの楽しさにも繋がることではないでしょうか。金沢エムザさんとのお仕事でも、包装だけじゃなく紙袋やご祝儀袋など、他にもやりたいことのアイデアはたくさんあります。一番の目標は、「こんなラッピングがあったらいいのに」というお客様の声が聞こえるようになることですね。それはつまり、ラッピングの魅力が広く伝わったということだと思うんです。